震災の日。家に帰れなかったあの日。
娘は両親に何時間もかけて保育園に迎えに行ってもらった。僕らは店の中でダンボールを布団がわりに寝る事にした。でもとにかく怖く、とにかく不安だった。
とっくに閉店したお店に入ってくるお客さん。その人がわざわざ車で僕らを迎えにきて自宅に泊めてくれた。
シャワーまで貸してくれて、アイスまでご馳走してくれた。思わず涙が出た。でも不謹慎にもなんか合宿みたいで、すごく温かかった。(今でもその時の事は鮮明に覚えていて、本当に、本当感謝しかない。)
お店も停電で真っ暗の中、お客さんは来てくれた。自分も大変なはずなのに、僕らを気にかけてくれ心配してくれた。震災で落ちそうな売上もむしろ上がっていった。今はいらないだろう、服や雑貨も買ってくれたから。
同時にお客さんも僕らを見て安心しているようだった。
僕らは学んだ。
いつもあるべきところにあって。いつもいるべき人がそこにいて。いつも笑顔な人がまた笑顔でそこにいる。
それが一番人を安心させ、心を癒すんだって。
改めてお店の本当の存在意義を知ったんだ。だから僕は忘れない。あの日を忘れない。
そこにあり続けるために。
僕らは頑張るんだ。
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